※この雛めぐり記は、07年のものです。展示内容が異なる場合がありますので参考までにご覧ください。


江戸時代から料亭を開業してきた「相馬屋」は、酒田の政財界・文化人らが集う社交の場として栄えてきました。平成6年に店じまいしましたが、現在は伝統ある建物に新しい息吹が吹き込まれ、「相馬樓」として生まれ変わりました。入ってすぐの「くつろぎ処」には大きなひな壇がしつらえられ、旧相馬屋所蔵の美しい雛たちが出迎えてくれます。
20畳もあるお座敷のほぼ半分を占めるひな壇。内裏雛は江戸時代の享保雛(京都製)と、丸いお顔が愛らしい次郎左衛門雛(江戸時代・江戸製)。五楽人や五人囃子、優雅な衣装の七福神もすてきです。ここでは掘り炬燵式のテーブルに着いて、抹茶やコーヒーをいただくこともできます。
でも、ここでくつろぎすぎてはいけません。まだまだ奥にもすばらしいお雛さまが飾られているんです。一番奥の蔵には、旧相馬屋が所蔵する芥子雛の段飾り、また鶴岡の渡部家から寄贈された芥子雛の古今雛があります。芥子雛とは高さが3寸(約10センチ)以下の小さなお雛さまですが、渡部家のお内裏様は、男雛が8センチ、女雛が7センチという小ささです。また、女雛の袖の刺繍も美しい江戸末期の古今雛も静かな微笑で私たちを見つめてくれます。
この奥の雛蔵には、樓主・新田嘉一氏の新たなコレクションでもある白磁の大壷も展示してあります。韓国の著名な女流陶芸家で、李朝時代の白磁を再興した朴英淑(パク・ヨンスク)さんの作品。この機会に拝見しておきたいお宝です。また蔵画廊でも、新田氏所蔵の夢二の絵画などが拝見できます。
もう1つの雛の蔵には、相馬樓のために作られた特別なおひなさまが飾られています。衣装、頭、道具類と日本を代表する伝統工芸師がその技を発揮した見事な平成の雛。女雛の衣装が抑えた色調であるのも、きらびやかな樓内の中で、かえって印象深いものとなっています。
2階の大広間では、水曜日の休樓日を除く毎日、酒田舞娘の踊りを見ながら舞娘弁当をいただくことができます。お食事は正午から1時までで、午後2時より舞娘さんの登場です。演舞鑑賞券がついたお食事は3,500円で、2名様以上からの予約を受け付けています。

平成6年に店じまいした料亭「相馬屋」は、平成8年に国の登録文化財建造物に指定され、その後、修復されて12年春より「相馬樓」として、湊町酒田の文化の香り高い社交場として多くの人が訪れています。現在残る木造の母屋は明治27年の庄内大地震で焼失した直後に、残った土蔵を取り囲むように建てられたもの。2階の客間は、「相馬屋事件」の舞台としても知られています。建物中央のかつての厨房は舞娘さんの稽古場として新設。また、建物の随所には樓主・新田嘉一氏所蔵の書画や古美術を展示しています。
※この雛めぐり記は、07年のものです。展示内容が異なる場合がありますので参考までにご覧ください。
※展示施設内は撮影禁止です。掲載の写真は、取材のために特別に撮影させていただいたものです。無断転載の一切を固くお断りします。